デジカメ入門講座の3(中級の上・・・カナ?)

ふじたです。
気になるカメラが発売されましたね。
ソニーアルファNEXシリーズです。
気になるポイントはあとで説明します。
さて、人物を撮影するときに背景を美しくボカす方法はどうするの?と、お問い合わせがありましたので、ちょっと書いてみますね。
難しくなってしまったので、文系の方はだけ読んでいただいても概要はわかります。シラー
理系の方はできれば全文読んでくださいね。
背景のボケ味を決める要素を説明します。

レンズには焦点距離というものがあります。
遠くの山を撮影する場合のように、無限遠にピントを合わせたときのレンズの中心から、イメージセンサー(従来のフイルムのことで すね)までの距離がそのレンズの焦点距離ということになります。
通常撮影用のレンズは何枚かのレンズを組み合わせてできていますので、設計上の中心点がそのレンズの中心点ということになります。
レンズには85mmF2などと書いてあり、このレンズは焦点距離が85mmということになります。
F2の方は、解放でのレンズ口径比です。レンズの明るさという事ですね。あとで説明します。

このレンズで遠くの山並みを撮影するときのイメージセンサーからレンズまでの距離は85mmになります。
ところが、3mぐらいの距離で人物を全身で撮影すると、フォーカスの機構がレンズ鏡胴の中でレンズを前後させてピント合わせをし、焦点距離は少 し伸びておそらく87mmぐらいになります。
もっと近づいて1mぐらいで上半身だけを撮影すると焦点距離はもっと伸びて95mmぐらいになるでしょう。
この、ピント合わせのためにレンズを前後させる仕組みの事を「ヘリコイド」といいます。

レンズ固有の焦点距離(無限遠の時の焦点距離)に比べて、ヘリコイドがより伸びる場合に背景がよくボケます。
ではどのような時にヘリ コイドが伸びるのでしょうか。
まず、レンズの固有の焦点距離が長い方が、同じフレーミングで撮影するのならヘリコイドが伸びます。
さきほど、85mmの望遠レンズで上半身を撮影すると、ヘリコイドが10mmほど伸びると言いましたが、24mmの広角レンズで上半身を撮影した場合、ヘリコイドはおそ らく2~3mmしか伸びないでしょう。
Studio CLIMB!
キャノンEF85mmF1.2
背景が美しくボケている

ですから、広角レンズよりも望遠レンズ、超望遠レンズの方が、同じフレーミングで撮影するならよくボケるということになります。
Studio CLIMB!
キャノン24-70mmF2.8 24mmで撮影
背景はあまりボケない

次に、先ほどの例でもお分かりのように被写体に近い方がヘリコイドが伸びます。ですから、わたしたちプロは全身写真を撮る時でも頭の上や足の下にあまり余裕 を残さ ず、フレーミングぎりぎりで撮るようにします。少しでもモデルに近づきヘリコイドを伸ばすようにする訳です。 
もう一つ、イメージセンサーが大きいほどヘリコイドはよく伸びます。
焦点距離が同じレンズならば、センサー上での被写体の結像サイズは同じです。
ですから、同じ焦点距離のレンズで同じフレーミングで撮影しようと思えば、センサーが大きければフレーミングに余裕ができますのでその分被写体に近づけるからです。
Studio CLIMB!
CANON EOS1DS Mark2 85mmF1.2
フルサイズセンサーのカメラは全身写真でも背景が美しくボケる
ウチのスタジオでは、35mmフルサイズセンサーを搭載した業務用カメラを使っています。
コンシューマー向けのデジタル一眼と呼ばれるカメラは、フルサイズの約2/3の面積、コンパクトデジカメでは1/4の面積のセンサーが一般的です。
これらのカメラでは、ボケ味に不満が残ります。
次にボケ味を決定する要素は、レンズの口径比です。
レンズ口径比とは、焦点距離と、有効レンズ口径(レンズを通る事のできる光束の直径)との比率です。
85mm F2のレンズなら、レンズ口径と焦点距離の比率が1:2ということですので、約42.5mmのレンズ口径を持つという事になります。
これがF4のレンズなら、口径は約21.25mmで、F2のレンズに比べて通過できる光束の断面積が1/4になるため、明るさも1/4です。
レンズ口径比はF値ともいい、この値が小さいほど明るいレンズということになります。
絞りはF4よりもF2.8、F1.4と開けていく方が背景はよくボケます。
当然、解放のF値が2のレンズはそれ以上は開けられません。
レンズを選ぶ時には、焦点距離は十分検討するがF値はほとんど気にしない方が多いのではないでしょうか。
わたしたちはF値の方が気になります。
Studio CLIMB!
キャノンEF85mmF1.2  f1.4で撮影
皆さんは恐らく17-85mmF3.5-5.6などというズームレンズを使っている方が多いと思います。
このレンズは、17mmで使った時は解放値F3.5で、85mmで使った時はF5.6になるように設計されています。
先ほど書いた通り望遠レンズで撮影したいところですが、望遠にすればするほど暗くなるというジレンマに陥ります。しかも、F5.6は背景をぼかすにはかなり暗いレンズです。
Studio CLIMB!
キャノン24-70mmF2.8 70mmf3.5で撮影
上の写真と比べて暗く短いレンズなのでこれくらいしかボケない。

そして最後に、ボカすべき背景は美しいものを選ぶという事が大切です。
背景に放置された自転車や電信柱が写っていれば、いくら高級なレンズで撮影しても美しい絵面にはなりません。
また、背景が近いとあまりボケませんので、できるだけ背景が遠くなるように広い場所で撮影するという事も必要です。モデルとカメラマンの距離も十分にとれなければ、長玉(望遠レンズの事をこう言います)を使うことができないので、十分に広い場所で撮影する必要があります。
そのような場所の事を、プロの用語で「引きがある」といいます。
さて、まとめてみましょう。
美しいボケ味の写真を撮るには
1)望遠レンズを使う。
2)モデルに近づき大きく写す。(全身を撮るよりバストアップの方がきれいにボケる)
3)絞りは解放近くを使う。
4)背景に気を使う。
5)カメラを購入する時は、センサーのサイズの大きなものを選ぶ。
6)レンズを購入する時は、F値の明るいレンズを選ぶ。
5)と6)は、わたしたちなら今手に入る最高のものを揃えますが、予算との兼ね合いがありますので皆さんはそうもいかないと思います。
ズームレンズは便利ですがF値が暗いので、せめてズームレンズをやめて単焦点のF2~2.8程度のレンズなら、おおむね納得のいく写真が撮れるでしょう。
さて、ソニーの新製品アルファNEXですが、今はやりのコンパクト一眼で、センサーがコンパクトカメラより一回り大きいEPS-Cサイズを採用しています。
ズームレンズは暗いのであまり興味ありませんが、広角系に16mmF2.8というレンズがあるので、これは使ってみたいですね。
広角レンズなので背景のボケ云々というより、暗い室内でも定常光だけで撮影できそうなので面白いかなと思いました。しかもISO感度を上げても画像が荒くならないらしい、毎秒7コマという高速連写、ついでにフルハイビジョンムービーまでついていたれりつくせりです。
そのうち、単焦点の明るい望遠レンズも出るかもしれないし、小さくて軽そうなのがとくにいいですね。
父の日のプレゼントに買ってくれ~得意げ
 人物撮影は 《スタジオクライム》 book*
プロフィール写真やお見合い写真、モデルコンポジット、マタニティーフォトの撮影など

 

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