★スタジオライティングの設計についての考察(1)☆トップライトの1灯ライティング
【この記事はプロフォトグラファー向けです】
またまた1年も放置してしまいました撮影の極意、前回お約束したライティングのお話をします。
巷では自然光スタジオが人気です。
大きな窓から差し込む柔らかな光は誰が撮っても失敗なく雰囲気のある写真が撮れるので、写真の基礎を勉強しなかった人でもライティングを気にせずそれなりの写真が撮れてしまいます。
一方でスタジオ用の大型ストロボに比べて圧倒的に光量が少なく、カメラのISO感度を高感度にすることが多くなり、また時間と天候により色温度と光量が変わるのでその都度設定を変えて色と明るさを整えなければいけないなど、弱点も少なくありません。
それに比べるとストロボでの撮影は色温度と光量が安定するというだけでもスピーディーなワークフローが可能です。
露出と色温度をきっちりと管理しておけば後処理での調整もほとんど必要ありません。
何より自分の思った通りに光を操れるということがカメラマンの喜びでもあると思います。
ライティングの目的は被写体のハイライトとシャドウをコントロールすることです。
影をなくして全体に明るくしてしまってはいけません。
影があることで2次元の画像であっても立体感が得られるのです。
また、ライティングにおいて一番大切にしたいのはできるだけ成り行きをなくすということです。
成り行きすらもコントロールする、とでも言いましょうか。
すべてをコントロールする事でスタジオライティングは完成します。
今回は人物撮影においてのスタジオライティングで見本写真を交えながら何に注意しているかを説明したいと思います。
トップライトの1灯ライティング
上の画像はモデルの顔にはほとんど影が出ないようにライティングしています。
髪の毛にハイライトが入っているので上からライトが当たっているのがわかるでしょうか。
あまり硬質なライトを当てると纏っている白のマフラーの質感が飛んでしまうので、ある程度柔らかい光を当てています。
具体的には直径1メートルほどのアンブレラにバウンスしたライトをもう一度ディフューザー(トレッシングペーパー)に透過させています。
顔に光が漏れないようにモデルの少し後ろのカメラの画角ギリギリに配置します。
背景は白ですがグレーに落ちるようにモデルとの距離とライトの方向を調整します。
使っているライトはそれ一灯だけですが、顔が暗くなるのを起すためにカメラの左右から大きめのレフ板(カポック)でトップライトを反射させ回します。
これも不自然に強くなりすぎないように肉眼で確認しながら微妙に位置を調整します。
さて、気づいていただけましたでしょうか?
このライティングではモデルに直接ライトを当てていません。
いわば影だけをコントロールして撮影している状態です。
しかも影をコントロールするために二つ目のライトを使っていません。
補助のライトを使うとコントロールが難しくなります。
その補助ライトの影が出るのでそれを消すためにまたもう一灯補助の補助ライトを使う…ということを延々と繰り返すことになるからです。
レフ板の位置と大きさで調整するのですが、こればかりは経験と勘に頼るしかありません。
経験の少ない方は思っているより弱めにレフ板を当ててください。
顔が影であることを意識できて肌の色が発色するギリギリを狙います。
後で画像処理しなくていいように露出や色温度、コントラストがピッタリになるまで何度もテスト撮影してその都度微調整で追い込みます。
納得できる調子になったらようやく本番撮影です。
見本写真も後処理は全くしていません。
次回はモデルに柔らかな光を当てたライティングのことをお伝えします。
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