★スタジオライティングの設計についての考察(3)☆硬い光のライティング

【この記事はプロフォトグラファー向けです】

今回は硬い光を使った人物撮影のお話をします。

硬い光はコントラストが強くなります。
白い洋服は真っ白に黒い服は真っ黒になり質感が損なわれたり、影が強く出たり肌がテカったりします。
一方で発色が良く肌の色を健康的に見せるので、化粧品広告などのビューティーフォトにはよく使われています。
強い影を逆手に取って夏の日差しのような明るさを演出することもできます。

硬い光のライティング
写真スタジオ撮影見本
model: TUJIKAWA izumi

作例を二つご紹介します。
左側、ドット柄のワンピースの方は非常に硬質なライトが当たっていることがわかると思います。
モデルと背景との距離も近く太陽光のような影を演出しています。
カメラの右上から何もディフューズしない生ライト1灯で、影のつき方を見ながら位置を調整しています。
柔らかな光のライティングでも書きましたがカメラの画角ギリギリまで黒を入れています。

右の作例、背中の空いたワンピースも1灯のライティングです。
ライトの前につけたディフューザー(トランスルーセントアンブレラ)との距離を調節して、肌の光沢感を出しつつ壁に落ちる影の滲みを調整しています。
影のニュアンスはモデルと背景の距離、ライトの位置でも調整します。
白いワンピースの質感を出すために周りを黒締めしてありますが、ライトから漏れた光を僅かに拾えるようにライトの右側に白のカポックを配置しています。
どちらも普段あまり使わないライティングなので、現場で何度もテスト撮影をしながら細かなライティング設計をして、背景に成り行きで落とす影もコントロールしています。

スタジオ撮影風景

ライトの使い方によって色温度が随分変わりますのでそちらにも注意が必要です。
ライトを白壁やカポックにバウンスしたりディフューザーを通すと色温度が下がり黄色くなります。
生ライトはかなり青くなるので普段あまり使わない方は注意が必要です。

また、ライトの当たっているところは色温度が低く影の色温度は高くなります。
日中の太陽光の当たっているところと日陰の関係と一緒ですね。
そのためライトを舐める(斜めから当てる)と影で表現する領域が増えるので青くなります。
あまり知られていませんがスタジオ用のストロボを調光して光量を落とすと青くなります。
これは発光している時間を切り詰めて光量を落としているためで、フル発光は発光時間が一番長く黄色くなります。
光をバウンスする素材(発泡スチロール、ケント紙、壁の塗料)によっても色は変わります。
気にする方は少ないかもしれませんが、それらのことを知っておくといざという時に慌てません。

実務的にはカメラでグレーカードを撮影して調整する機能がありますのでそれを使うことになりますが、グレーカードを置く位置やライトに対する角度などでかなり変化するので、僕はテスト撮影してモニターで目視しながらケルビン値を変えて調整しています。
肌色は少しの色変化でずいぶん印象が変わります。
若い方は黄色く撮影した方が健康的ですが、年配の女性は若干青い方が肌が美しく見えます。
カメラに勝手に決めさせるわけにはいきませんからね。

次回は背景に奥行き感を出すライティングのことをお伝えします。

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